2 《 緑内障シリーズ 第2回 》
「緑内障って、見えなくなる病気なんですよね?」
そう質問された患者さんに、
「見えにくくなっていましたか?」
と聞くと、多くの方がこう答えます。
「全然気付きませんでした。」
実はこれが、緑内障の一番怖いところです。自覚症状がほとんどありません。
痛みもなく、急に見えなくなるわけでもないため、多くの方が気付かないまま病気が進行してしまいます。
今回は、緑内障が「静かな病気」と呼ばれる理由についてわかりやすくお話しします。
緑内障は自覚症状が少ない病気
緑内障は、視神経が少しずつ傷ついていく病気です。
そのため、視野(見える範囲)はゆっくり狭くなります。
しかし、その変化はほんの少しずつ。
毎日少しずつ進むため、脳が自然と見えない部分を補ってしまい、自分では異常に気付きにくいのです。
両目で見ているから気付きにくい!
人は普段、左右の目を同時に使っています。
もし右目の視野が少し欠けても、左目がその部分を補ってくれます。
逆に左目の視野が狭くなっても、右目がカバーしてくれます。
そのため、片目ずつ検査をして初めて異常が見つかることも珍しくありません。
「普通に見えている」と感じていても、実際には視野が欠けている場合があります。
こんな症状はありませんか?
緑内障の初期には症状がほとんどありませんが、進行すると次のような変化を感じることがあります。
- 人や物にぶつかりやすくなった
- 階段の段差が見えにくい
- 足元が見えづらい
- 視野の一部が欠けているように感じる
- 車の運転で周囲に気付きにくい
- かすんで見える
- 左右で見え方が違う
ただし、これらの症状が出た時には、すでに病気が進行している可能性もあります。
視力検査だけではわからないこともあります。
「健康診断で視力は良かったから大丈夫。」
そう思っている方も少なくありません。
しかし、視力と視野は別のものです。
視力が1.0あっても、視野が狭くなっていることがあります。
視野は主に周辺部から見づらくなることが多いです。見づらく欠けた部分は真っ暗になるわけでは
ありません。「なんとなくかすむ」「ぼやける」「一部が靄がかかったように見える」と感じるこ
とも少なくありません。最終的には中心部が見えなくなる場合が多いため、かなり病気がすすんで
しまっていても中心視野は良いことがかなりあります。だから怖いのです。
そのため、緑内障の発見には視野検査や眼底検査、眼圧検査などを組み合わせることが大切です。
40歳を過ぎたら一度は眼科で検査をしましょう。
緑内障は40歳を超える頃から増え始めると言われています。
特に...
- 家族に緑内障の方がいる
- 強い近視がある
- 糖尿病、高血圧などの病気がある
- 偏頭痛持ちである
- ステロイドを使用している
- 睡眠時無呼吸症候群がある
という方は、定期的な眼科検査がおすすめです。
症状がないからこそ、定期検査が大切なのです。
眼科ナースとして伝えたいこと
私は眼科で、20年以上働いています。その中でも本当によく患者さんから言われる言葉は、、
「もっと早く検査を受けていればよかった…」
「なんでもっと早く気がつかなかったのだろう…」
「ぜんぜん、自分ではわからなかった…」
という言葉です。これがまさに緑内障が怖い病気と言われる意味なのです。
一方で、健康診断や人間ドックで偶然見つかり、早い段階から治療を始められた方も多くいます。
緑内障は、早く見つけて治療を続けることで、進行を抑えられる可能性が高い病気です。
だからこそ、
「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がない今だからこそ検査を受ける」
という考え方を、多くの方に知っていただきたいと思っています。
見えるは当たり前ではありません。見えるは年齢とともに変化するのです。ご自身の見え方は、
ご自身で守ることができます。今の見えるを守るためにも40歳を過ぎたら眼科で
健診を受けましょう!!
まとめ
- 緑内障は初期症状がほとんどありません。
- 見づらくなった視野は両目で補い合うため、初期は自分では気付きにくい病気です。
- 視力が良くても安心とは限りません。
- 40歳を過ぎたら定期的な眼科検査がおすすめします。
- 強度近視がある方は早い段階で定期検査をおすすめします。
- 糖尿病や高血圧、ステロイドの治療を受けている方、偏頭痛持ちの方、睡眠時無呼吸症候群の方などは、進んで定期検査を受けましょう。
- 少しでも違和感を感じるなら放置せずに眼科受診しましょう。
- 早期発見・早期治療が大切です。
次回予告
第3回「眼圧が正常でも安心できない‼️」
「眼圧が正常だから緑内障ではない」と思っていませんか?
実は日本人には正常眼圧緑内障というタイプが多く、眼圧が正常でも緑内障になることがあります。
次回は、その理由をわかりやすく解説します。

