緑内障の目薬は一生続けるの?

緑内障の目薬を一生続けるのか?について詳しく解説 緑内障

6  《 緑内障シリーズ 第6回 》

緑内障の目薬は一生続けるの?やめてもいいの?

「緑内障と診断されて、目薬を始めました」

そう聞いた患者さんから、よくこんな質問があります。

「この目薬、一生続けるんですか?」

「眼圧が下がったら、目薬はやめてもいいですか?」

「1回くらい目薬を忘れても大丈夫?」

「目薬を使っているのに眼圧が下がらないのはなぜ?」

緑内障は、治療を始めたからといってすぐに「治った」と判断できる病気ではありません。

緑内障で起こった視神経の障害は、基本的には元に戻すことが難しく、治療ではこれ以上の進行をできるだけ抑えることが重要になります。

そのため、多くの場合は長期間にわたって治療を続けながら、眼圧や視野、視神経の状態を定期的に確認していきます。

ただし、

「緑内障=必ず一生同じ目薬を使い続ける」

という意味ではありません。

目薬の種類を変更したり、数を減らしたり、レーザー治療や手術を検討したりすることもあります。

今回は、緑内障の目薬について患者さんが疑問に思いやすいポイントを、できるだけわかりやすく解説します。

※この記事は一般的な情報をまとめたものです。実際の治療方法や目薬の継続・中止については、病型や視野、眼圧、視神経の状態などによって異なります。自己判断で目薬を中止せず、主治医に相談してください。

緑内障の目薬は一生続けるの?

まず結論からいうと、

緑内障の目薬は、長期間続けることが多い治療です。

ただし、

「一度始めたら、同じ目薬を一生使い続けなければならない」

ということではありません。

緑内障では、眼圧を下げることで視神経への負担を減らし、視野障害の進行を抑えることを目指します。

日本緑内障学会の緑内障診療ガイドラインでも、緑内障治療の基本は眼圧下降であり、薬物・レーザー・手術などの方法があります。

つまり、目薬は「緑内障そのものを治す薬」というより、

視神経をこれ以上傷めないために、眼圧をコントロールする治療

と考えるとわかりやすいでしょう。(ニチガン⁠)

① なぜ緑内障の目薬を続けるの?

緑内障の目薬を続ける理由を、眼圧を下げて視神経と視野を守る流れとともに眼科ナースが解説する図解
緑内障の目薬は、眼圧を下げて視神経への負担を減らし、大切な視野をできるだけ長く守るための治療です。

「眼圧が下がったなら、もう目薬はいらないのでは?」

そう思う方もいるかもしれません。

ここが緑内障治療でとても大切なポイントです。

目薬を使って眼圧が下がったということは、

目薬によって眼圧がコントロールされている

可能性があります。

つまり、

「眼圧が下がった=緑内障が治った」

とは限りません。

たとえば、血圧の薬を飲んで血圧が正常になったからといって、自己判断で薬をやめれば、血圧が再び上がることがあります。

緑内障の目薬も、それに似ています。

目薬によって眼圧を下げることで、視神経への負担を減らしているのです。

緑内障は「症状がないから治った」とは判断できない

緑内障は、初期には自覚症状がほとんどないことがあります。

さらに、視野の欠けは少しずつ進行するため、自分では変化に気づきにくい場合があります。

日本眼科学会も、緑内障では視神経障害や視野障害が基本的に進行性・非可逆的であり、早期発見と治療による進行の抑制が重要だと説明しています。(ニチガン⁠)

だからこそ、

「見えているから大丈夫」

ではなく、

定期的に検査を受けながら、視神経や視野の状態を確認すること

が大切です。

② 目薬を忘れたらどうする?

緑内障の目薬を忘れたときの対処法を、次の点眼タイミングや注意点とともに解説した図解
緑内障の目薬を忘れても、1回忘れただけですぐに悪くなるわけではありません。気づいたタイミングに合わせて、落ち着いて対応しましょう。

「しまった!目薬を忘れた!」

これは実際によくあることです。

忙しい日や旅行中など、毎日決まった時間に点眼するのが難しいこともあります。

では、忘れたらどうすればいいのでしょうか?

基本的には、

気づいた時点で、次の点眼時間が近くなければ点眼する

という考え方があります。

ただし、目薬によって使用方法が異なるため、処方されている薬の説明書や医師・薬剤師からの指示を優先してください。

そして重要なのが、

忘れたからといって、次の点眼時に2回分をまとめて点眼しないこと。

自己判断で量を増やすのは避けましょう。

「1回忘れたらどうしよう」と過度に心配する必要はありません。

大切なのは、

忘れてしまったことをきっかけに、その後の点眼までやめてしまわないこと

です。

目薬を忘れやすい人は「習慣」とセットにする

毎日決まった時間に点眼するのが難しい人は、

・歯磨きのあと
・朝食後
・寝る前
・洗顔後

など、すでに毎日行っている習慣とセットにすると、忘れにくくなることがあります。

スマートフォンのアラームを利用するのも方法のひとつです。

また、複数の目薬を使っている場合は、

「どの目薬を、何時に、何回使うのか」

を一度整理してみましょう。

点眼回数が多い場合や、使い分けが難しい場合には、主治医や薬剤師に相談することで、配合点眼薬など別の方法を検討できる場合もあります。

緑内障では、薬を処方された通りに継続して使えるかどうかも治療を考えるうえで重要です。日本緑内障学会のガイドラインでも、治療方針を考える際には副作用だけでなく、点眼を継続できるかどうかも考慮されています。

③ 目薬の副作用が気になるときは?

緑内障の目薬で起こることがある副作用と、症状が気になるときに医師や看護師へ相談するポイントを解説した図解
緑内障の目薬で起こることがある副作用と、症状が気になるときに医師や看護師へ相談するポイントを解説した図解

緑内障の目薬を使っていて、

「目が赤くなった」

「しみる」

「まぶたが黒っぽくなってきた」

「まつ毛が長くなった気がする」

「目の周りがかゆい」

などの変化が気になることがあります。

緑内障の目薬にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や副作用が異なります。

代表的なものには、

・プロスタグランジン関連薬

・β遮断薬

・炭酸脱水酵素阻害薬

・α2作動薬

・ROCK阻害薬

などがあります。

薬によって副作用の出方は異なるため、

「目薬だから少しくらい我慢しないといけない」

と自己判断する必要はありません。

副作用がつらいときは「我慢」ではなく相談

副作用が気になる場合は、主治医に伝えましょう。

緑内障は長期間治療を続けることが多いため、

続けられる治療に調整すること

も非常に重要です。

薬の種類を変更したり、点眼方法を見直したり、場合によっては別の治療方法を検討することもあります。

特に、

・強い目の痛み

・急激な視力低下

・強い充血

・息苦しさや脈の異常など、目以外の症状

などがある場合には、薬の副作用の可能性もあるため、早めに医療機関へ相談してください。

また、緑内障の目薬は目だけに作用するとは限りません。

薬の種類によっては全身への影響が問題になる場合もあります。

そのため、

「この薬を使っていて大丈夫かな?」

と思ったら、自己判断で中止するのではなく、処方した医師に相談することが大切です。

④ 目薬を使っているのに眼圧が下がらないときは?

緑内障の目薬を使っても眼圧が下がらないときに考えられる原因を5つに分けて解説した図解
目薬を使っているのに眼圧が下がらないときも、自己判断で治療をやめず、原因を確認しながら医師と治療方法を考えていきましょう。

「毎日ちゃんと目薬を使っているのに、眼圧が下がらない」

そんなこともあります。

これは、

「目薬をちゃんと使っていないから」

とは限りません。

緑内障は一人ひとり病態が異なるため、同じ目薬を使っても眼圧の下がり方には違いがあります。

また、

・目薬の種類が合っていない

・効果が十分ではない

・点眼方法に問題がある

・点眼後すぐに目を強くこすっている

・別の目薬との間隔が適切でない

・病気のタイプが異なる

・眼圧が時間帯によって変動している

など、さまざまな要因が考えられます。

目薬が効かないときは治療を変更することも

日本緑内障学会のガイドラインでは、目標眼圧が達成できない場合、薬剤変更や複数薬剤の併用、配合点眼薬などを検討し、それでも十分なコントロールが得られない場合にはレーザー治療や手術治療を検討する流れが示されています。(ニチガン)

つまり、

「目薬が効かない=もう治療できない」

ということではありません。

治療方法を変更する選択肢があります。

⑤ 緑内障は目薬以外でも治療できる?

緑内障の目薬以外の治療方法として内服薬、レーザー治療、手術治療、生活習慣の見直しを紹介する図解
緑内障は目薬だけが治療ではありません。目の状態や進行具合に合わせて、治療方法を選んでいきます。

はい。

緑内障の治療は、目薬だけではありません。

大きく分けると、

①薬物治療

②レーザー治療

③手術治療

があります。

どの治療を選ぶかは、緑内障のタイプや進行度、眼圧、視野、視神経の状態などによって決まります。

薬物療法

より強い眼圧降下作用をもつ「炭酸脱水素酵素阻害薬(ダイアモックス)」の内服薬が一時的に使われることがあります。手足のしびれやめまいなどの副作用があるため長期に使用することは基本的には控えることが多いです。

レーザー治療

緑内障の種類によっては、レーザー治療が選択肢になることがあります。

レーザーによって房水の流れや排出を改善し、眼圧を下げることを目指します。

ただし、

「レーザーをすれば目薬が完全に不要になる」

とは限りません。

レーザー後も眼圧の状態によって目薬を続ける場合があります。

手術治療

目薬やレーザーで十分に眼圧をコントロールできない場合などには、手術が検討されることがあります。

手術にもさまざまな方法があり、患者さんの状態によって選択肢が変わります。

比較的負担の少ない手術から、よりしっかり眼圧を下げることを目指す手術まであります。

ここで覚えておいてほしいのは、

「手術=緑内障が治る」ではない

ということです。

手術の目的も基本的には、眼圧を下げて視神経障害の進行を抑えることです。

⑥ そもそも「目標眼圧」っていくつ?

緑内障の目標眼圧は現在の眼圧からの低下率や目の状態によって異なることを示した図解
目標眼圧は「○mmHg」と一律に決まるものではありません。目の状態や進行具合に合わせて設定します。

ここは非常に重要です。

「眼圧が15mmHgなら大丈夫ですか?」

「正常値の20mmHg以下なら安心?」

という質問があります。

しかし、

緑内障の目標眼圧は、全員同じではありません。

一般的な眼圧の正常範囲は10〜20mmHg程度とされていますが、緑内障では「正常範囲だから安心」とは限りません。正常眼圧緑内障があるためです。(ニチガン⁠)

目標眼圧は「その人ごと」に決める

日本緑内障学会のガイドラインでは、

・緑内障の病期
・治療前の眼圧
・年齢
・余命
・視野障害の進行
・家族歴
・反対の目の状態
・その他の危険因子

などを考慮して、患者さんごとに目標眼圧を設定するとされています。(ニチガン⁠)

つまり、

「15mmHgだから絶対大丈夫」

とも、

「18mmHgだから危険」

とも、一概には言えません。

目標眼圧の目安として示される数字

日本緑内障学会のガイドラインでは、目標眼圧の例として、

初期:19mmHg以下
中期:16mmHg以下
後期:14mmHg以下

という設定例が示されています。

ただし、これはすべての患者さんにその数字を当てはめるという意味ではありません。

また、無治療時の眼圧を基準にして、

20%または30%程度の眼圧下降

を目標として設定する考え方も示されています。(ニチガン⁠)

たとえば、治療前の眼圧が20mmHgだった場合、

20%低下なら約16mmHg。

30%低下なら約14mmHg。

という計算になります。

ただし、これもあくまで目安です。

重要なのは、

「何mmHgなら正常か」ではなく、「その人の視神経を守るためにはどの程度まで眼圧を下げる必要があるか」

という考え方です。

⑦ 目標眼圧まで下がったら、目薬はやめられる?

ここも非常に多い疑問です。

答えは、

自己判断ではやめないでください。

なぜなら、目標眼圧まで下がっているのが、

目薬を使っているから

という可能性があるからです。

また、目標眼圧そのものも固定された数字ではありません。

定期的な検査で、

・視野が悪化していないか
・視神経の状態が変化していないか
・眼圧は安定しているか
・治療による副作用はないか

などを確認しながら、治療が適切かどうかを判断していきます。

日本緑内障学会のガイドラインでも、最初に設定した目標眼圧が本当に適切だったかどうかは、経過を見なければ判断できないとされています。

目標眼圧を達成していても進行する場合があり、その場合には目標眼圧をさらに見直すことがあります。

「一生目薬なの?」という不安について

「一生目薬を続けるのは大変……」

そう思うのは当然です。

緑内障は長期的に付き合っていくことが多い病気なので、

「毎日目薬を続けるのが面倒」

「旅行のとき忘れそう」

「何年も続けるのは不安」

と感じる方もいます。

でも、ここで大切なのは、

目薬を続けること自体を目的にしないこと。

本当の目的は、

今ある視野をできるだけ長く守ること

です。

そのために、目薬が必要な人もいれば、薬を変更する人もいます。

レーザー治療を選択する人もいます。

手術を検討する人もいます。

また、治療を続けながら、

「この治療方法が自分に合っているか」

を主治医と一緒に確認していくことも大切です。

目薬を続けるうえで大切な5つのポイント

最後に、緑内障の目薬を続けている方に覚えておいてほしいことをまとめます。

① 自己判断で中止しない

眼圧が下がっていても、目薬のおかげでコントロールされている可能性があります。

② 1回忘れたからといって焦りすぎない

気づいたら、処方された指示に従って対応しましょう。

次の点眼時間が近い場合など、対応が迷うときは薬剤師や主治医に確認してください。

③ 副作用は我慢しない

「緑内障だから仕方ない」と我慢し続ける必要はありません。

薬の変更など、治療を調整できる場合があります。

④ 眼圧だけで判断しない

眼圧だけでなく、

視野・視神経・眼底などを総合的に確認すること

が重要です。

⑤ 「目標眼圧」は人によって違う

緑内障では、

正常範囲の眼圧=その人にとって安全な眼圧

とは限りません。

その人の病期や進行状況などを考慮して目標を決めます。

まとめ|緑内障の目薬は「一生同じ薬」ではなく「長く視野を守るための治療」

緑内障の目薬は一生同じ薬とは限らず、薬の調整や目標眼圧、定期受診を通して長く視野を守る治療であることをまとめた図解
緑内障の目薬は「一生同じ薬」ではなく、長く視野を守るために、その人の状態に合わせて続けていく治療です。

緑内障の目薬について、

「一生続けるの?」

と不安になる方は少なくありません。

緑内障では長期的な治療が必要になることが多いですが、

「一度目薬を始めたら、同じ薬を一生使う」

という意味ではありません。

眼圧や視野、視神経の状態、副作用などを確認しながら、

・目薬を変更する
・目薬を追加する
・配合点眼薬に変更する
・レーザー治療を検討する
・手術治療を検討する

など、その時の状態に合わせて治療方法を調整していきます。

そして、緑内障治療で最も大切なのは、

「眼圧を下げること」だけではありません。

最終的な目的は、

できるだけ視野と視機能を長く保つこと。

そのために、自分にとってどのくらいの眼圧を目指すのか。

どの治療方法が合っているのか。

副作用は許容できるのか。

定期的な検査で視野や視神経に変化がないか。

こうしたことを確認しながら、長く治療を続けていきます。

もし今、

「目薬を一生続けるのが不安」

「副作用が気になる」

「眼圧が下がらない」

「目薬をやめたい」

と思っているなら、

自己判断で中止するのではなく、まず主治医に相談してみてください。

治療は「我慢して続けるもの」ではなく、

自分の目を長く守るために、状態に合わせて調整していくもの

緑内障の治療は「目薬を一生続けること」が目的ではありません。

目的は、今ある視野をできるだけ長く守ること。

そのために、目薬・レーザー・手術などの治療方法を組み合わせながら、その人に合った治療を続けていきます。

そして、

「眼圧が何mmHgなら大丈夫?」ではなく、
「自分にとっての目標眼圧はどのくらい?」

という視点を持つことが大切です。

緑内障と診断された方が日常生活の中で気をつけたいことについて、具体的に解説します

 

タイトルとURLをコピーしました